biography
当選しました

「当選しました。おめでとうございます。あなたは今回の私どもの企画で多数の応募者の中から、
なんと1位になられました。ほんとおめでとうございます」正は思い当たることがない。

「なんかのまちがいじゃないの?応募した覚えないよ」

「私どもの企画はラッキーなことにあなたのような将来有望な方を特別に選抜いたしまして、勝手ではございますが、今回の企画の最終枠に入れ込んだ次第で。本当におめでとうございます」

「ねえ、さっきから、おめでとうございます。おめでとうございますと言っているけど何がおめでとうなの?」

「ハイ、私どもの企画は1位になられた方の夢に当社が投資する権利、そうあなたがその権利を獲得されました」

「ふうん、それじゃ。私の夢にいくらでも投資してくれるわけ」?

「ハイ、さようで」。

「どうすればいいの」。

「あなた宛に契約書をお送りしますのでそれに署名と印鑑を押して、送り返してください」

「ふうん、それだけ、わりかし簡単じゃん。それで私の夢をいつ聞いてくれるわけ?」

「契約を交わしたあとあなたの夢の企画書を作成していただきます」

「企画書って難しそうだね」

「いえ、私がお手伝いさせていただきます。電話でのやりとりになりますが、
あなたはただ、私にあなたの夢を語り、それをもとに私があなたの夢の企画書を作成します」

「ふうん、じゃ、やってみようかな、せっかくだし」

それから、二週間後、正にその会社から、契約書が送られてきたので正はそれに署名捺印し、送り返した。
それから、しばらくしてその会社から一通の封書が送られてきた。

そこには「当社は、平成17年・・・当社の顧問弁護士を通じて、裁判所に自己破産の手続きをとりました。
ついては、当社に対する債務、貸し付け、借り入れがある方については、当方の弁護士を通じて後日ご連絡させていただきます」旨のことがかかれていた。

それから、しばらく月日が過ぎた。あれ以来、何の連絡もないが、自分の携帯やメールにはあれからやたらとサラ金の勧誘が入るようになったのは何か、自分の知らないところで何かがあったせいだろうか。思い過ごしてあればいいが・・・。(終)



阪神大震災から11年そしてあのときの

阪神大震災から11年。朝起きるとテレビ中継がやっていた。どこかの街でそして多くの建物が空中から、映し出されている。空中から映し出される限り人影は見えない。ところどころで火の手が上がっている。早く消防車は来ないのか。地上はどうなっているのだろう。それが阪神大震災のテレビから見た景色だった。

現場は本当に悲惨だったんだろう。その数字はかなり後からはっきりしたのを今でも思い出す。私のもう一つの記憶はそれから、一年ぐらい経ってからだろうか。結構見た目も悪くない中年の女性が、私の家の近くで私に声をかけてきた。「お兄さん、おなかが空いたから、何かおごってくれない」。

私は正直びっくりしたけど、逆に「どうしたの」と聞き返した。彼女はこう言った。「一年前の震災で財産を無くした]。「土地は残ったけど、親戚にあげて、知人を頼って転々としている」。「今は沖縄にいる知人を頼って沖縄にいるんだけど、その知人と喧嘩をして出てきたところだ」と。私は彼女がかわいそうだと思ったけれどいっしょにご飯を食べる気にはなれなく、彼女にいくらかを渡して「がんばってね」と言って、別れた。あれから、十年、中には彼女みたいな人もいたんだろうか。自分が知らない、でも考えれば有り得る。そのときの自分の対応にも情けないけれど、今、彼女はどうしているだろうか。